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POPSから教材性を見出す


今日は、学校の音楽の授業でPOPSの扱いについて考えてみます。あくまで私見です。

学校音楽は、厳格な場所、子ども達が触れることのない音楽文化を味わわせなければならない、クラシックを楽しめるように・・・と考えていらっしゃる方もいるかもしれません。けど、私は、これらを肯定しつつ、違う見解も必要だなと感じています。POPSの教材性については、様々な観点で見ていくことが必要。

[音楽の仕組みの理解の観点から]

この点が、私が授業でJ-POPを扱う大きな理由。音楽の仕組み、楽曲の構造、構成感について、J-POPでは、

・サビ、Aメロ、Bメロ、ブリッジなど、構成感がわかりやすい。

・音や旋律で構成感が理解できなくても、歌詞を見ていくと構成感がわかる場合もある。1番2番で対称歌詞となっている場合は、特に分かりやすい。

・転調やコード進行などが身近である。

・音の重なり方(薄い、厚い)が、分かりやすい。

・拍の流れとシンコペーションの理解(ポップスは、食う曲ばっかりで、1拍目と歌詞がずれることが多い)

以上が、主な教材性だと感じる。

POPSくらいの楽曲の構成も分からないまま、『木星』やソナタ形式などの長い楽曲の構成を理解できるはずがない。構成感とは、子ども達がぴんと来ない感覚だと思うとなおさら長いクラシック曲の構成を考えるのは難しいと思う。

構成を考えられるようになると譜読みや音楽のやり取りも早い。Bメロからもう一回歌いたい、サビの最後の部分が、音楽の部分を具体的に説明できるようになる。

私が教わったA先生は、「子ども達が音楽的な見方・考え方をもって将来音楽と進んで関わる力を身につけさせてあげたい。例えば、『嵐』の新曲を聴いた時でも、サビの前の部分がよかったよね、とか、サビの後の転調の旋律が素敵だったよね。とか、音楽的な内容の会話が増えれば、よいですよね。」こうおっしゃっていた。これが新学習指導要領の生活や社会の中の音や音楽との関わり、、、につながると思う。

そういえば、昨年度、POPSでG.P.が含まれる楽曲を分析したことがあった。「G.P.を家で探してきてごらん」と問いかけたところ、普段聴く音楽の中からG.P.のある楽曲を次の時、見つけて報告してくれた教え子がいた。学校の音楽と児童の生活の中の音楽を結び付けてあげることも必要だなと感じたことがあった。

[歌唱的な観点から]

合唱と独唱の発声の違い、独唱における奏法、ビブラートやしゃくい、こぶしなどについて、触れることには教材性があると思う。合唱と独唱の聴き比べもよい。

[音楽への意欲づけの観点か]

音楽に興味が高くなく、音楽活動が盛んでない場合、POPSを扱うのは有効な手段の1つだと思う。

[音楽文化の理解の観点から]

学校の音楽は、正直、全世界の音楽文化の何%にもすぎない。所詮、西洋和声感が強い。もっと多様な音楽に触れるべきだし、かといって、世界の音楽、民族音楽は、私たちの実生活からは、やや遠い。そして、クラシック音楽だって昔は、流行歌、流行曲だったに違いない。西洋和声法を見出したクラシック音楽があったから、今のポップスがあるのだと思うと、決してポップスも否定できないと思う。

[器楽の観点から]

シンコペーションの扱いがネックとなる。あまり、器楽に適さないとは思う。

[歌詞への共感の観点から]

POPSでも素晴らしい歌詞がたくさんある。何らかのメッセージの含まれる歌詞は、思春期の子供の心を耕すことと思う。

最後に。

POPSを扱うには、児童の実態や生活にあっているか、教材性をしっかり見いだせているか、が重要になってくる。ただ、流行しているからという観点で選曲はしない。私は、POPSもよく聴くし、いいなと思う曲のコード進行や旋律線、歌詞を分析するのが好きだ。こんな聴き方をする人はきっと少ないだろうけど(笑)

以上


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